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シャネル:ココ・シャネルとは(前編)

 シャネルはココ・シャネルが作り上げたブランドです。シャネルのブランドが強烈な個性を持っているのは創始者であるココ・シャネル自身が強烈な個性の持ち主であったからに他なりません。今回はそのココ・シャネルの人生について見ていきたいと思います。

 ココ・シャネル(本名ガブリエル・シャネル)の人生の始まりは、苦渋に満ちたものでした。ココは1883年に生まれました。もっとも彼女自身は10年後の1893年に生まれたと生涯主張し続けました。ココ・の家庭は決して幸福とはいえませんでした。母は6歳の時に亡くなり、父は母が亡くなるとともにココとココの姉を残して姿を消してしまったのです。後年ココは「母が死ぬと父は仕事でアメリカに行き、私は叔母に預けられ、父からの仕送りで育てられた」と語りましたが、実際は違います。商売で街を移るたびに女を取り替えるプレイボーイだった父は、母の死から一週間もしないうちに、ココを姉と一緒に修道院内の孤児院に預けると「必ず迎えに来るよ」という言葉を残し、行方をくらませたのです。

 ココは修道院内で、はた織や刺繍、編物などの手芸をみっちりと仕込まれました。生まれつき手先が器用だったココは、当時の仲間たちの間でも一目置かれており、毎年夏、修道院主催のバザーが開かれると、彼女は得意の刺繍やアップリケなどを駆使し、手の込んだものを出品しました。
 
 「16歳まで、私はツーピースのテーラードスーツを着ていた。私が作るシャネルスーツはそこからきている」。後年、成功したココが語った<テーラードスーツ>というのは、孤児院時代、日曜礼拝の際に着せられた、上下ブルーの礼拝服のこととみられています。ココは生年を10年後の1893年に生まれたと主張したり、母が亡くなった後は叔母に預けられたと語ったりと孤児院で暮らした事実を生涯隠し通そうとしていました。しかしシャネルのブランドは孤児院での裁縫技術の習得と孤児院時代に育まれた美的センスによって生まれたのです。

 寄宿舎学校を卒業すると、同い年の叔母アドリエンヌと衣料品店の売り子として働き始めます。その時代に成り上がりのイギリス人アーサー・カペルと出会います。常に男性との噂を絶やさなかったココですが、、ココが生涯愛した男はカペルと、ココが四十歳のときに出会ったウェストミンスター公爵だけでした。

 1910年、パリのカンボン通り21番地に小さな帽子店”シャネル・ココ”を開いたのは、二十六歳のときです。カペルの援助で、洋品店を開くのはそれから2年後になります。2人はパリ郊外にあるカペルの豪壮な別荘で同棲を始めました。ココの評判を聞きつけて、多くの客が集まりました。1914年、第一次世界大戦が勃発します。翌年、33歳のココはパリで正式にオートクチュールの店を開きました。

 カペルはその後、政略結婚のため貴族の娘と結婚します。しかし、自分ひとりの力で連合国大評議会書記官まで叩き上げた彼の生き方は、ココが36歳の時にカペルが亡くなった後も、ココの励みとなりました。「私の成功はカペルのおかげ」とまでココは言っています。

 1935年には「シャネル」は、従業員4000人を抱える大企業へと成長し、業績を伸ばし続けていました。莫大な財産を築いたココは、次にアメリカのマーケットに狙いを定めました。ココはアメリカ進出を世界的成功の足掛かりにしようとしていました。しかしこのときが「シャネル」の絶頂期であったのです。

 1936年6月のある日、労働条件の改善を求めて、従業員のストライキがおこります。ココはコレクションが近づくと仕事の鬼と化し、従業員の労働時間もお構いなしでした。恵まれない生い立ちから苦労を重ね、一人で店を立ち上げた上昇志向の強いココには、従業員の仕事についての不満など理解できませんでした。衝撃を受けたココは、強引に店をしめてしまいます。

 1939年には、第二次世界大戦勃発を期に、香水とアクセサリー部門を除き、メゾンを閉鎖します。ココはそれから15年もの間、ファッション界から姿を消してしまいます。

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